【イベントレポート】山暮らしkikori塾全国版 その3

2023年11月25日~26日に「山暮らしkikori塾2023全国版その3」が開催されました!
当日の様子をお届けします。

秋の山

3回目となる最終回は、肌寒い秋の終わりに行われました。
会場であるモリモクショールームの周りの木々も色づき、ほとんどの広葉樹は落葉していました。

広葉樹の伐採

これまで2回は針葉樹を伐採してきましたが、今回は広葉樹の伐採です。

まずは最初にチェーンソーのメンテナンスから始めました。

刃の微妙な左右差が伐採にも影響してきます。小さな刃の微妙な角度の調整を、見たり触ったり、切り具合を試してみたりしながら確認します。動画でなんでも学べる時代ですが、やはり実際の感覚として身に着けるには直接教えてもらうのが一番。参加者のみなさんにとっては三度目の目立てですが、毎度真剣に、より高度なメンテナンス技術を学んでいるようです。

チェーンソーの準備ができたら山へ。

これまで伐採してきた「ジョジョニの森」とは違う場所へ、徒歩で向かいます。

途中には山室鉱泉という、かつて旅館として営業していた立派な空き家もありました。地方は人が少ない分、活用できるスペースや家も多いです。この建物を何かに活用できないか…そんな想像の話をしながら山へ向かいます。

今回のフィールドに到着しました。

まずは塾長が一本、ミズキを試しに伐採します。

針葉樹と広葉樹の違いはいくつもありますが、一つは斜面での広葉樹は水平に生えていないことが多いということがあります。

こうなるとすでに木の重心が寄っていて、すぐに谷側に倒れようとします。

また、樹種にもよりますが、広葉樹は裂けやすい木が多いそうです。このミズキも実は、塾長が裂けてしまう伐採例を実演しようとしたのですが、あまり大きくは裂けませんでした。それでも少しだけ裂け目が入ったのが分かります。

参加者たちもグループに分かれて伐採をしていきます。

先ほどまで天気がよかったのに、急に猛吹雪が吹いてきました。例年より早い初雪です。

ミズキ、ミズナラ、クリ、クルミ、クワなど、様々な樹種を伐採していきます。

針葉樹と違って途中で枝が分かれているものは片方の枝を落としておくなど、木の重心と他の木への引っ掛かりを見極めることが必要になります。

そして一人の参加者が追い口を切っている途中に、バキッと大きな音がして木が裂けました。

林業は事故が多い産業ですが、事故の原因として多いもののひとつが、この裂けによる事故。

勢いよく裂けて反り返った木がまた反動で戻る際に伐採者の頭を叩くなどして、死亡事故などにもつながります。

実際に裂ける瞬間を目の当たりにすると、その危険性がよく理解できました。

木の繊維がまっすぐなクリなども特に裂けやすく注意が必要です。裂けないようにするためには、チェーンソーの刃をよく研ぐことや、ロープで木を縛る、そのほかにも追いづる切りという方法で伐採するなどの方法があります。

伐採した木は玉切りをし、トビという道具などを使って搬出していきます。
機械化が進んだ現在の林業では、林業者でもトビをほとんど使ったことがない人もいるそうです。

伐ったばかりの水分を含んだ木は重く、斜面でもなかなか引き出せません。

かつては冬場に雪を利用して木材を搬出していたそうです。

製材過程を学ぶ

切り出した木を軽トラックに積み、伊那市西箕輪にある「有賀製材所」に持ち込みました。

有賀製材所は地域材を主に扱う製材所で、住宅の設計施工、材木業なども行っています。

代表の真人さんにお話を聞きました。

有賀製材は今年で創業96年。
30年ほど前までは外材の製材も行っていますが、こんなに地元に木があるのに使われないことに疑問を感じ、当時としては珍しく、積極的に地域材を製材するようになりました。今では「地域材といえは有賀製材所さん」と思ってもらえるほどになりました。
かつては製材所を中心として、丸太を運ぶ人、帯鋸を研ぐ人、おが粉を運ぶ人など、様々な職業が生まれる雇用の場にもなっていて、 私が小さい頃は近所のいろんな職業のおじさんたちが出入りして、つながりがありました。 製材所は大きな音や、煙も出るのでなかなか村の中で新しく始めるのは難しいですが、そういったこれまでのつながりもあって、地域の方にも理解をしていただいてやらせてもらっています。

賃引きという、依頼を受けての製材もおこなっており、一般の方が一本からでも行っているとのこと。

今回はクリとクワの賃引きをお願いし、製材の過程を見学しました。


巨大な帯鋸で製材する様子は圧巻です。

チェーンソーで伐採した木の断面とはまた違う木の断面に参加者も興味津々。触ったり、匂いを嗅いだりしながら確認をしていました。

製材することにより実際に木材として使われるのは5割ほど。曲がりが多い広葉樹になるとさらに使える部分が少なくなります。
それでも広葉樹には広葉樹にしかない面白味が。
樹種それぞれの特徴を学び、加工を身につけることで、木を余すことなく使うことができます。

加工を学ぶ

次は伊那市の手良地区にある木工房「in the pond」に行き、加工を学びます。

代表の池中睦貴さんは、幼いころ伊那市高遠に山村留学をしたことなどがきっかけで、林業なども経験したのち、木工作家となりました。

今回は製材したクリとクワのいずれかで、スプーンを作ります。

まずは板を選び、そこに理想の形を鉛筆で書き、バンドソーで粗削りします。
スプーンの形も様々で、食べやすさ、持ちやすさを考えて面の深さや広さをデザインしていきます。

電動やすりで大まかに削ったあとは、ナイフとやすりで仕上げていきます。

今回、希望者は鉄媒染を行いました。
鉄媒染とは酢+鉄が素材の自然染料で、木に含まれるタンニンに反応して黒く発色させます。 
面白かったのは、同じ媒染液を使ったのにクリとクワで全く違う色に染まったこと。

最後にクルミのオイルで仕上げて完成です。

人と同じで、この世に一本しかない個性的なスプーンたちができあがりました。

黒く染まったものと、茶色く染まったものが

三回のkikori塾を振り返って

山暮らしkikori塾は全三回の講座を終え、参加者は卒業となりました。

全国版は宿泊を含めた開催だったため、参加者のみなさんはプログラム以外にも、寝食を共にすることで仲を深められました。
振り返りとして、参加者みなさんがkikori塾に参加した感想や、これからの理想の暮らしを語りました。

そして最後は塾長から、卒業証書の授与が。

またいつか同窓会をしよう、そんな話をしながら、無事山暮らしkikori塾2023は幕を下ろしました。

これから参加者のみなさんはそれぞれの土地で、今までよりも一歩自然に寄り添った暮らしを実践していくことでしょう。
これからも遠くでみなさんの活躍を応援しています!