【イベントレポート】山暮らしkikori塾ローカル版 その2
今年から上伊那に住む人たちを対象にしてはじまったkikori塾の「ローカル版」。
今回はお天気に恵まれ、むんとする暑さの中、無事に第二回が開催されました。
山を知る
前回は雨の翌日のため入らなかった「ジョジョニの森」に、今回は全員で登ります。
山を歩きながら自然に生えてきたカヤの実をかじったり、爪楊枝に使われるクロモジの香りを嗅いだり、あくが強いためかクルミが生えるとその周りにクルミ以外生えづらいなど、塾長から山にまつわる様々な話を聞きながら、五感を使って山を観察します。
「尾根松、沢杉、腹檜」とは、植物の特性に合わせた植える場所を示した昔から山師に伝わる言葉で、現在では科学的に見ても正しいことが証明されています。昔の人は山を観察し、その土地にあった樹を植林していたことが改めて分かりました。
塾長もジョジョニの森の木を切り、その後に生えてくる植生を観察しながら、その土地にあう植物を育てるようにしているそうです。
そして、自分がこの森をどうしていきたいかも重要です。
日あたりをよくするために広く伐採されている場所もありましたが、そこにはパイオニアプランツと呼ばれるタラなどのトゲのある植物が新たに生えてきていました。「木を切ることは悪いことではない」と塾長が言うように、土砂崩れが起こらないような配慮はしつつ、伐採することで新たに日あたりや土地に合わせた植物が生えてきます。
自分の山がある参加者もいましたが、自分がこの森をどうしたいかも踏まえて、山を観察し、その土地の植生に合わせた森をデザインしていくことが必要だということを、山歩きを通して感じたようでした。
山での伐採
さて、ここからはチェーンソーをどんどん使って伐採をしていきます。
まずはもう一度受け口の練習をします。
前回みっちりと練習した甲斐があり、参加者も感覚を思い出しながらうまく受け口を作れていました。
そしていよいよ立木を伐採していきます。
一つずつの手順を確認しながら、安全に伐採する手順を学びます。
一本、きのこが生えている木がありました。
こういった木はすでに弱っている可能性があります。
他のものより注意して切った結果、やはり中が虫に食われて空洞になっていました。
こうなると材としては価値がない…と思いきや、塾長は「これも面白いよね、何かに使えそうなアイディアがあったら教えてね」と。確かにくりぬく必要がないので、太鼓や丸木船やほかにも入れ物などに加工できるかもしれませんね。
なかなか木に値段が付かない中、日本の木より外国産の木ばかりが使われている現状があります。すべて国産の木を使っていくのは難しいかもしれませんが、アイディアによって今まで価値がないと思っていたものに価値をつけていけるのかもしれません。
最後はメンテナンス
最後は一日使ったチェーンソーをメンテナンスします。
みっちりと伐採を学んだ今回の回で、ローカル版は終了です。
参加者のみなさんは特に今後自分で山に入り伐採をしたいという方も多かったので、他の樹種の切り方や、切った後の搬出方法についてもっと学びたいという声が聞かれました。
とはいえみなさん2回目とは思えないほど、上手に伐採を行っていました。今回の山暮らしkikori塾が、薪を自給したい人、自分の山を管理したい人、木を加工して家具を作りたい人、それぞれの理想の暮らしへの後押しになったのではないでしょうか。
ぜひこれからもチェーンソーを握る機会を作りながら、山に近い暮らしを実践してって欲しいと思います!