【イベントレポート】山暮らしkikori塾全国版 その1

2023年6月24日~25日に「山暮らしkikori塾2023全国版その1」が開催されました!
当日の様子をお届けします。

暮らしを考える

昨年度は関西や関東から6名の方が参加してくれたkikori塾。

参加当初から長野への移住が決まっていた方もいましたが、このkikori塾に参加したことをきっかけに家が決まった人などもいて、結果として6人中5人が長野に暮らすことになりました。

ひとことに「田舎暮らし」と言ってもいろんな暮らしがあって、車が無くても暮らせる場所での田舎暮らしもあれば、上下水道もないような田舎暮らしもあります。

この「山暮らしkikori塾」は「山を学び山と暮らす」をテーマにして、
参加することによって、自分にとっての「ちょうどいい暮らし」を考えるきっかけになるかもしれません。

今回も、自分たちの人生や暮らしを見つめなおし、
より自然によりそった暮らしをしたい。
そんな共通の想いを持った6名の方が参加してくれました。

山を歩く

今回はすでに中山間地域で暮らしていて次のステップとして実践的なチェーンソーを学びたい方や、次の生業として林業や炭焼きを考えている方、夏も冬も山のアクティビティを楽しんでいる方など、すでに山に慣れ親しんでいる方も多くいました。

まずは参加者全員で、モリモクショールームの裏の「ジョジョニの森」を歩きます。

木こりの目線で見ると山の見方も変わってきます。

たとえば針葉樹と広葉樹の特徴の違いで知っていることはありますか?

一般的には針葉樹は軽く、広葉樹は重いものが多いです。
また、広葉樹の多くは切ると脇から新しい芽が出てきて、どんどん成長します。
針葉樹の多くは落葉しないですが、この地にもよくある唐松は落葉します。
ほかにも根っこの張り方の違いなど、樹種によっても違いますが、針葉樹と広葉樹でもたくさんの特徴の違いがあります。

伐採したケヤキからたくさんの新芽が

木の性質の違いが分かれば、家の柱には何を使うか、外壁には何を使うかなどが分かってきます。

こちらはジョジョニの森の入り口にある炭焼き用の「掘っ建て小屋」。
名前として聞いたことがある「掘っ建て小屋」ですが、その字の通り、穴を掘って柱を立ててつくる方法で建てられた小屋です。

一般的には、木が地面に触れると水分によって腐ってしまうため、石やコンクリートの上に柱を立てますが、水に強いクリを使うことで直接地面の穴に柱を立てることができます。

今のように便利な建築資材がなかった時代、先人達は自然の素材のそれぞれの特徴を生かして暮らしをつくっていたことを想像して、「すごいなぁ」という気持ちが沸いてきます。

自分で切った木で小屋を建てるイメージも沸いてきました。

一緒に山を歩きながら、見て、触れて、匂いを嗅いで、たまに味わって、今までとは違った視点で山を見ました。

チェーンソーの基礎

さて、山を降り、チェーンソーを学びます。

まずは分解をし、各名称の名前と構造についての基礎を学んでいきます。

すでにチェーンソーでの伐採の経験がある参加者もいましたが、今後自分のチェーンソーを持ち、継続的に伐採を行ってくる時には、調整やメンテナンスが何よりも重要。

例えばチェーンの張り具合も、切る木の硬さや太さによっても調整します。実際に張り具合を目で見て指触って確認しながら教わりました。

一度分解したチェーンソーを組み立て直したら、エンジンをかけます。

エンジンのかけ方は、草刈り機などと同じ仕組みで、
①燃料ポンプを押してエンジンがかかりやすくする
②チョークを閉じる
③スターターを何度か引っ張り初爆を起こす
④チョークを戻す
⑤再度スターターを引っ張りエンジンをかける
という手順になります。

その前にチェーンブレーキをかけたり、地面に置いて足で抑えてスターターをひっぱたりと、安全にかけられる方法についてもきちんとレクチャーを受けながら、全員がエンジンをかける体験をしました。

最近は、エンジン式以外にもバッテリー式の電動のチェーンソーも増えてきました。

個人で小規模に伐採をするなら、スイッチ一つでエンジンが掛けられて、音も静かなバッテリー式を検討してもいいかもしれないという塾長の計らいで、バッテリー式も一台用意し、音や振動の違いなどを確認しました。

玉切り、受け口練習

ヘルメットと、振動を軽減する防振手袋、チェーンソーの刃によるけがを防止するチャップスを装着して、玉切りの練習です。

「普通に切るだけでしょ」と一見簡単に見える玉切りですが、ただ上から切るだけだと木が割け始める時にチェーンソーの刃が挟まれて抜けなくなってしまうことがあります。

丸太の支点から予想しつつ、木の動き方を見ながらまずは上から切って、そのあと下から切るというように、挟まれないように考えながら切る必要があります。

刃が挟まれてしまった場合、小さな木ならなんとかなりますが、重い場合は力ずくでも抜けず、抜けたとしてもチェーンソーが壊れてしまうかもしれないので、きこりは山に行くときは手鋸も必ず携帯するそうです。

玉切りの次は、「受け口」づくりの練習をします。

「受け口」とは、立木を伐採する時に最初に入れる切込みです。

倒したい方向(伐倒方向)に倒れるように、受け口づくりはとても重要です。

水平に切れているようで切れていなかったり、切りすぎてしまったりと、想定とずれてしまいましたが、何度か修正をしながら、受け口をつくります。

何度か修正して、思い通りの方向に切れた受け口

さて、練習もできたので山に登りましょう!

山に登る前に、チェーンソーの担ぎ方も教えてもらいました。かっこいいですね。

いざ、山へ

実際に山に入り、ふたたび受け口づくりの練習を行います。

先ほどと違って角度のある、山の斜面。足もとに注意しながらチェーンソーを握ります。

そしていよいよ立木を切ります。

今回は細めの小径木なので、受け口を切りすぎないように注意して切ります。

立木になってやっと実感するのが、他の木も立ち並ぶ中で、絡まないようにしてどう思った方向に倒すか、ということの重要性です。

木もまっすぐに生えているものだけではないので、木の重心を確認して切る必要があります。

また、四方に広がる枝が、ほかの木やつると絡まっていないか、倒したときに他の木と絡まってしまわないかを確認するために、木の周囲を歩いて、いろんな角度から観察を行います。

途中で塾長が、伐倒したらぶつかって折れてしまいそうな他の木の枝を、ひょいひょいと木に登って手鋸で落としていました。

全産業の12倍の事故率と言われる林業ですが、こうしたちょっとした危険への配慮が、結果的に安全な仕事につながっているのだろうなぁと思わされました。

練習で学んだことを実践し、木と木の間に設定した伐倒方向を目指して、伐採します。


チェーンソーについているガンマークを使って、伐倒方向を確認しながら

みしみしと音を立てて倒れた檜。切断面を見ながら、振り返りを行います。

切り口と置い口の間の「ツル」と呼ばれる部分が蝶番のような役割をして、伐倒方向へと倒します。木の種類によって粘り具合が違うので、この「ツル」のきき方も変わってきます。

思った伐採方向に倒れなかった場合、受け口の角度が悪かったからか、追い口を受け口と平行に切れなかったからか、そのほかどういう原因があったかを振り返ります。

追い口が受け口と平行の角度より少しずれてしまった

木を伐りながら、様々な林業についての話も教えてもらいました。

林業はかつては冬場に行われました。水分を吸っている夏場に切ると、中に虫が入って腐りやすくなるため、「彼岸(3月)から彼岸(11月)は切らない」と言われたそうです。現在は人工的に乾燥させることができるので夏場でも伐採が行われますが、かつては「どう乾燥させていい材にするか」を考えて伐採していました。

その一つが、「葉枯らし乾燥」。伐採した木を枝払いせず葉を残したまま放置することで、葉っぱが蒸散して木の水分が抜けていきます。昨年の11月におこなったkikori塾で伐採した檜も葉をつけたままその場に置かれていました。

参加者の中にも、自分で木を切って家の改修や小屋を作ってみたいという人もいましたが、材として使う木の種類の特徴だけではなく、切り方や乾燥のさせ方も学ぶことで、山暮らしにも生かされます。

泣くほど研いで、笑うほど切れる

最後は2日間使ったチェーンソーをメンテナンスします。

きこりの仕事では、45分仕事をして、15分休憩するそうです。
しかしその15分もただ休んでいる人はいなくて、次の45分で満足に切れるように、目立てを行いながら休むそうです。

「泣くほど研いで、笑うほど切れる」ことを目指して、しっかりとメンテナンスを学びます。

すでに使っているMYチェーンソーを持ち込んでいた参加者もいました。切ることについてはある程度慣れているものの、やはりメンテナンスの方法に不安があるとのことで丸やすり、平やすり、目立てガイドなどを使いながら、しっかりとメンテナンスを学びます。

どんな世界でも「段取り八分」。道具とどう付き合っていくかで、暮らしも豊かになりますね。

今回のkikori塾その1で、参加者は山のある豊かな暮らしのイメージをちょっと持てたのではないかと思います。
残り2回のkikori塾で、より深い学びをみんなで共有できたらと思います!

もう立木の伐採までできるなんてみなさんさすがね!次回もお楽しみに!(by盛テン)