【イベントレポート】山暮らしkikori塾ローカル版 その1

kikori塾では、山の豊かな恵みをもらって日々の暮らしを紡いでいくために、木のこと、そして山のことを学びます。

山暮らしや自然に寄り添った暮らしに憧れて、伊那谷に移住した人もたくさんいます。また、生まれてからここに住みながら、でも普段はあまり山に接しない生活の方もいます。そんな人が、もう一歩山暮らしに踏み込むことを後押しするために、今年からkikori塾の「ローカル版」を用意し、上伊那に在住する6名の男女が参加してくれました。

あいにくのお天気ですが…

当日は晴れ間も見えましたが、前日の雨により山道がぬかるんでいため、予定していた山歩きと山での伐採練習は次回とし、今回はモリモクショールームの屋根の下でみっちりと基礎を学びました。

その前にまずは全員で自己紹介をします。

みなさんに参加しようと思った理由を聞いてみると、実際に山つきの物件を取得し、人と森とをつなぐイベントをやっている、住んでいる地区の人の暮らしと山をつなぐ役割を担いたい、趣味で家具を作る中で材木に興味を持った、などなど、それぞれ思いを持って参加してくれていました。

チェーンソーを理解する

全国版と同じく、まずはチェーンソーを分解して仕組みを理解していきます。

チェーンソーは大きく本体、バー、ソーチェーンの3つの部分でできていて、バーの周りを高速でソーチェーンが回ることで木を切ることができます。

そのため、エンジンオイル以外にも潤滑油としてバーとソーチェーンの間の摩擦を軽減させるチェーンオイルが必要になります。

チェーンオイルの補充を忘れるとバーが摩耗してしまうため、エンジンオイルを入れる時に必ずチェーンオイルも入れるのがいい、というアドバイスを聞きつつ、オイルを充填していきます。

この上伊那地域だと、山間部に住んでいる方ではチェーンソーを持っている方もそれほど珍しくありません。

近くのホームセンターなどでも販売しているため、自身で購入して動画などで勉強しながら使うことも可能ですが、kikori塾ではプロの林業家から、安全に長く道具を使い続けられるコツを教えてもらえます。

一度チェーンソーを分解し、再び組み立て直しました。

木を切り始める前に、エンジンのかけ方、チェーンソーの握り方なども練習します。

チェーンソーで切る

チェーンソーが理解できたら、玉切りからおこなっていきます。

玉切りとは、木を伐採して枝を払った後に、一定の長さに切り分けること。

印をつけたところを切っていきます。

チェーンソーで丸太を切る際に、ただ上から切るだけでは丸太の支点の場所や、木が重みでどんな風に動くかによってバーが木に挟まれ抜けなくなることがあります。(電動工具の丸のこで板を切ったことがある方なら分かるかと思います)

そんな時には、木の動きを見つつ、下から切ることもします。

特に山では複雑な地形の上に木が乗ってくるので、木の動きや支点を予想しつつ、観察しながら切ることが求められます。

受け口の練習

この南信地域で多い木は赤松と唐松です。

たとえば直径40cmの唐松だと約1tくらいの重さがあります。

そんな木が倒れて少しでも体に当たったらどうなるか、その危険を想像できるのではないのでしょうか?

そのため木を安全に伐採するには、木の重さや地形を生かしながら正しい方向に倒すことが必要になります。

伐採するにあたってはまずは「受け口」という切込みを彫ります。そしてその後ろから「追い口」を切ることで、受け口と追い口の間の残った部分(ツル)が蝶番のような役割を果たし、倒したい方向に倒すことができます。

まずは丸太を立木に見立てて受け口を作る練習をおこないます。

水平に切ること、角を合わせること、伐倒方向に向いて切ること。実際にやってみると難しさが見えてきます。

意外と奥深い薪割り

田舎暮らしの憧れの一つ、薪ストーブ。薪を購入すると一冬で数万円はかかると言われますが、それが自給できればストーブ本体や煙突代などの初期投資を除いて暖房費はかかりません。

地域で間伐された木を無料でもらえることもあったりするので、そういったものをもらってチェーンソーで玉切りし、薪を割って自給することができれば最高です。

また、山があって自由に切れれば薪が足りなくなる心配もありません。

薪を割るにも慣れとコツが必要です。

こういった節があるところはねじれているために割れにくいので、節を避けて割るようにします。

節のある部分とない部分。やってみると大変さが全然違います。

薪は1~2年乾かす必要があるため、その分の薪置き場も必要になってきます。

また、家に近すぎると乾きが悪くなったり、薪の虫が家に影響したりもするので置き場も検討が必要です。

また、ストーブも材質によって特徴があり、盛木材さんの自宅では主に家を温めるための鋳物のストーブと、料理などに使うための鉄のストーブのふたつをうまく使い分けていました。

薪ストーブの良さや気を付ける点なども教えてもらいながら、気持ちよくスパッと割れるまで薪割を行いました。

最後はメンテナンス

最後は一日使ったチェーンソーをメンテナンスします。

丸やすりを使って刃を削っていきます。すべての刃が同じ角度になるように、決まった方向に、決まった回数ずつ擦っていきます。

そしてみなさんへ「5年後の暮らし」というテーマで、自分の理想の暮らしについてシェアしてもらいました。

自分で家具をつくる、日常に山と関わる暮らしを実践する、自分で家を直したり薪を自給したりなど、6人6様の素敵な理想の暮らしがあります。

さて、今回のkikori塾その1では、あいにく山に入ることはできませんでしたが、きっちりみっちりチェーンソーの基礎について学ぶことができました。次回は山に入り立木を伐採できるように、お天気を願います!

次回は山に一緒に行ってばっさばっさ切るわよ!(by盛テン)